LAS Production Presents

 

 

 

Soryu Asuka Langley

 

in

 

 

 

starring

Shinji Ikari

 

and

Soryu Kyoko

as Great Lady

 

 

Written by JUN

 


 

Act.3

ASUKA 

 

-  Chapter 1  -

 

 

 

 この章では、エッチな展開に入っていきます。文章上には18禁になるようなモノは盛り込みませんが、
 伊吹マヤちゃん的潔癖な方には刺激があり、または葛城ミサト的××な方には物足りないという中途半端なものになっています。
 まあ、私の書くものですから、内容Rでありながら実質中学生OK程度でありましょう。
 と、一応但し書き。すぐにはそういう話になりませんけど。

 

 

 

 

 

 アスカとシンジがその劇的な出会いをしてから、1週間が過ぎた。

 アスカたちが自分たちの街に帰るまで、あと1週間しかない。

 シンジたちのようにバイトが主目的でないだけに、予定の日が来ると帰らざるを得ない。

 好きな人ができましたからもうしばらくここにいます。

 そんなことが家の人間に言える訳がない。

 ヒカリはどんどん落ち込んでいった。

 その心を癒すことができるのは、親友たちではなくトウジしかいない。

 したがって、ヒカリは暇さえあればトウジの元を訪れている。

 部屋に帰ってくるのは10時頃。

 ただし、それは後の二人も同様だからアスカもマナも文句は言えない。

 そのマナは最近一緒にいることが多いケンスケを好きなわけではない。

 しかし、嫌いでもない。

 自分のために戦ってくれた最初の異性。

 結果はあっさり玉砕したものの、悪い感じがしていないのは事実だ。

 アスカやヒカリが相手をしてくれない以上、別の相手を探さないといけない。

 もちろんその相手は異性に限る。

 マナにアブノーマルな趣味はない。

 では男性に声をかければいいのだが、そういう気分にもなれない。

 友人二人に先を越されて焦っているように見られるのが癪だからだ。

 実はアスカとシンジはマナが考えているような生臭い間柄ではないのだが、

 マナはある程度のラインを二人は越えていると確信している。

 完全な誤解なのであるが、そう思われても仕方がない部分もある。

 何しろシンジが宿直当番の夜は、アスカは無断…ではない、宣言して外泊してくるのだから。

「シンジのとこで泊まってくるからね。用事があったら携帯鳴らしてね」

 こんな感じであっけらかんと言われれば、疑われても仕方がなかろう。

 トランプや花札、隣町で仕入れてきたボードゲームを徹夜でしているなどと誰が想像しよう。

 翌朝になって目を腫らしたアスカが部屋に戻ってきて、昼まで布団で正体もなく眠りこける。

 片やシンジは真っ赤な目でふらふらになって浜茶屋で働く。

 昼休みにはテーブルに突っ伏して眠っている。

 そんな二人の姿をマナたちは間近で見ているのだ。

 マナがシンジをあきらめたのは当然の成り行きだろう。

 

 さて、アスカとシンジである。

 肉体的な負担は明らかにシンジに覆い被さっている。

 徹夜で遊んでもアスカは仮眠を取れる。

 シンジの方はその後働いているのだ。

 すでに2回の徹夜遊戯を行っているが、翌日はふらふらである。

 その上、遅い昼休みにはアスカの相手をしながら食事を素早くし、

 空き時間をアスカのオイル塗りに勤しんでいる。

 しかし、シンジは泣き言は言わない。

 彼女がこの海岸からいなくなるまで、後1週間。

 アスカはそのことについて何も言ってくれないから、シンジとしてはアスカとの1分1秒が大切なのだ。

 

 今日の夜はお祭である。

 

「あ〜ん、浴衣持ってくればよかったっ!」

「まさか民宿の寝間着を着ていくわけにもいかないもんね」

 マナの一言にヒカリは首を振った。

「それより…私は…」

「はいはい、わかってます。あの関西弁ジャージ男とデートするんでしょ」

「うん…」

 恥ずかしそうに俯くヒカリ。

「もう、本当に初々しいわね。で、アスカは…」

「と〜ぜん、シンジと遊びまくるわよ!」

「はいはい、当然そうなんでしょうよ。

 ということは、私はまたあのカメラオタクの相手かぁ…」

 ぼやきながらも、マナは不愉快ではなかった。

 あの翌日からマナを被写体にしてケンスケは撮影している。

 ポーズをとったりはせずに、自然な状態でケンスケはシャッターを押している。

 2日前に、マナは出来上がった写真を強引に奪い取った。

 そして、言葉を失った。

 すべての写真がそうではないが、何枚かは写っているのが自分か疑ったくらいだった。

 私ってこんなに可愛いの?

 少しは自惚れもあったマナだったが、その写真の彼女は自然な笑顔でカメラを見ている。

 『どうかな?』とおずおずと聞いてきたケンスケには、被写体がいいからよく撮れてるんじゃないのと強がった。

 私のことが好きだから、巧く撮る事ができるんだろうか?

 それはケンスケにもわからない。

 ただ、マナを撮った写真はどの写真も彼には宝物だった。

 人物写真など盗撮的なものしか撮ったことがなかったのだ。

 今回のようにおおっぴらに女の子を撮影するなど、初めてだったのである。

 だからこそ、写真の中のマナが輝いていることに彼は感動していた。

 漠然とした夢でしかなかったカメラマンと言う職業を真剣に考え始めたのは、実はこのときからだったのである。

 

 浜茶屋は本日5時で閉店。

 シゲルだってマヤとお祭に行きたいのである。

 そのためにはバイトの連中も解放してやらないと、夢見が悪そうだ。

 あの女の子のグループがもう少しでここから去ることをシゲルも知っているのだから。

 もちろん、この行動によってマヤの好感度もアップするという利益も得ようとしているのだが。

 シゲルは知らない。

 マヤの好感度は上がるところまで上がりきっていることを。

 彼女は待っていた。

 シゲルの口から愛の告白を受けるのを。

 

 5時を過ぎた時、シンジは早々に後片付けを切り上げさせてもらった。

 6時12分の電車で惣流キョウコがやってくるのだ。

 もちろん、アスカはその出迎えにシンジが同行することを平然と要求して来た。

 シンジは慌てふためき、どんな顔をして何を喋ればいいのか一生懸命考えた。

 しかしながら、彼の頭の中でリフレインする言葉はただ一つだけだった。

 『お嬢さんを僕にください』

 そんな年齢でもそんな関係でもないことは重々わかっているのに、

 この言葉が頭から離れてくれない。

 ただ普通に挨拶すればいいだけなのに、実際アスカの母親を目の前にした時に舞い上がってしまいそうで不安なのだ。

 こんにちは…いや、こんばんは?どっちだろ?えっと、まだ明るいから、こんにちはでいいかな。

 僕、碇シンジといいます。お嬢さんを僕に…じゃないってば、もう!お嬢さんの友達です…でいいよね。

 次は…お嬢さんを僕…じゃないってば、ああっ!どうしてこればっかり。

 シンジが堂堂巡りに陥っているのを無視して、アスカはその手を引き摺って駅へ向かう。

 駅まで歩いてほんの5分。

 今はまだ5時50分である。

「早く来なさいよ、馬鹿シンジ!何ブツブツ言ってんのよ、もうっ!」

「ま、待ってよ。まだ、心の準備が」

「何が心の準備よ!来るのはただのオバサンじゃないのよ!」

「そ、それなら、なんでそんなに急ぐんだよ」

 アスカは立ち止まった。

「それどういう意味よ」

「あ、いや、まだ20分くらいあるよ」

「もし電車が早く着いたらどうすんのよ」

「遅くなることはあっても早いのはないんじゃないかなぁ」

「そんなのわかんないわよ…って、何よその目は」

 シンジは慌ててアスカから目を逸らした。

 が、遅かった。

「私がママを怖がっているとでも言うの?!」

 アスカがシンジの手を振り放した。

 そして、腰に手をやりシンジに向かって仁王立ちした。

「どうなのよ!ママに頭が上がんないとでも思ってんの?

 この前レイのとこで電話でママをここまで呼び出したじゃないよ!

 ママなんて怖くないもん!全然怖くないもん!」

 こ、子供がいる。

 シンジは思った。

 怖いんだ。アスカは母親のことが凄く怖いんだ。

 電話のときは他に人がいたから虚勢を張ってた。

 だから、そのことを叱られると思ってるんだ。

 あのアスカがこんなになってしまうんだから、きっと凄く怖い人なんだろうな、アスカの母さんって。

 無礼は働かないようにしよう。

 固く決心するシンジだった。

 そう決心したのはアスカの様子からだけではない。

 アスカの母親の名前がキョウコだとわかったからでもある。

 あの洋館でアスカの口から母親が凄腕の弁護士だと聞いた時、予感はしていた。

 自分の母親と犬猿の仲の凄腕の金髪美人弁護士がいたのだ。

 その名前がキョウコだったのである。

 シンジはその姓を知らなかった。

 母親が『キョウコのヤツ、今度会ったら絞め殺してあげるわ!』などと、物騒な事を酔っ払って叫んだこともある。

 そのとき、父親のゲンドウは鼻で笑って『ああ、捕まらんようにな、相手は人気の美人弁護士だ』と言い、

 それに対して『あら、ゲンドウさん。あなた、金髪が好みなの?ふふふ、完全犯罪ならお手の物よ』と、

 微笑む母親の姿を物陰からシンジは震えながら見ていたのである。

 その時、碇シンジは小学2年生。

 リビングで恐ろしげな事を話す両親の姿は夜中という時間も手伝って、長くシンジのトラウマになっていた。

 もしかしたら、そのキョウコという女性はもう殺されているのではないか?

 あの何を考えているのかわからない両親ならやりかねない。

 しかし、その疑惑はとりあえず解消された。

 どうやら被害者は生きていたようである。

 ただし……。

 大好きなアスカはシンジの母親と仲が悪いのだ。

 とんだロミオとジュリエットである。

 

 シンジは、どんなことがあってもアスカへの愛を貫こうと考えていた。

 例え、親と縁を切ってでも。

 

 

 

「あらぁ、可愛い子。ママにプレゼント?」

 

 惣流キョウコの第一声は、シンジの頭から用意していた挨拶の言葉を一掃してしまった。

 全然怖くない。

 それどころか、美しい。

 確かにアスカは可愛くて、綺麗だ。

 ところが、その母親は40近いというのに30そこそこにしか見えない。

 さらに母娘の体格は変わらないのに、圧倒的にキョウコは存在感がある。

 おそらく、色気だろう。

 どんなにアスカの身体が若く魅力的でも、キョウコから発散される大人の女の香りは殺人的である。

 そのキョウコがシンジに肉体的に接近している。

 直立不動しているシンジのほっぺをつついたり、肩を撫でたり…。

 そのたびにアスカから無色透明の殺人光線がキョウコ目掛けて発せられている。

 それがわかっているからこそ、キョウコは楽しんでいるのである。

 彼女は嬉しくて仕方がないのだ。

 子供のまま大きくなっていた、あのアスカがなんと男の子に興味を示している。

 まだ自分の気持ちに気が付いていないみたいだけど。

 明らかに今の私に嫉妬している。

 やっとそういう年齢になってくれたのね、それに可愛い男の子じゃない、本当に。

 そんなキョウコの想いはシンジの挨拶で数倍…いや数十倍に膨れ上がった。

 

「挨拶が遅くなってごめんなさい。僕、碇シンジっていいます。お嬢さんをぼ…」

 シンジの妄想挨拶が現実になろうとした瞬間、キョウコが叫んだ。

「碇って、あの碇?!」

「えっ!」

 シンジは青ざめた。

 やばい、やっぱり殺したいほど仲が悪いんだ。

 キョウコは妖艶な微笑を溜めて、シンジに返事を促している。

「あ、あの…、そ、そうだと…思います。母の名前は碇ユイです」

 おずおずとそう言葉を発したシンジの唇は、暖かく気持ちのいいもので塞がれた。

 ぶちゅっ…んごんごんご…くちゅくちゅくちゅ…。

 さすがに舌は入ってこなかったが、唇を使って啄ばんだりしてシンジの唇を堪能している。

「あ、あ、あああっ!止めなさいよ!何すんのよ!この色キチガイ!色魔!離れろぅっ!」

 アスカが母親の肩を掴んでシンジから引き離そうとするが、キョウコの身体はピクリともしない。

「ここをどこだと思ってんのよっ!駅よ、駅!公共の場所で何考えてんのよ!」

 キョウコはシンジの肩をしっかりと掴んでいる。

 そのシンジは逃げようとは思っているのだが、身体は動いてくれない。

 キョウコの手が万力のようにその肩を固定していることもあるが、何よりも…気持ちがいい。

 ミサトのディープキスも気持ちよかったが、キョウコのキスは恍惚の世界に誘ってくれそうな感じである。

 それに、キョウコの顔はアスカに良く似ている。

 もちろん、似ているのはアスカの方なのだが、シンジの世界はアスカが中心に回っているのだから仕方がない。

 キョウコはアスカの罵声を楽しみながら、たっぷりとキスを楽しんだ。

 そう…3分間ほど。

 6時30分にはまだ間がある。周囲は充分明るい。

 プラットホームの真中で、抱き合ってキスをする少年と金髪美人。

 それだけでも人目を引く上に、その周りで金髪の美少女が大声で騒いでいる。

 注目してくれと言っているようなものだ。

 みんな足を止めている。近くで見物したいところだが、遠巻きにして見ないことには何とも格好がつかない。

 キョウコがシンジから離れた時、一斉に溜息が漏れたのは一体何のためだったのだろうか?

 男も女も、老いも若きも、一様に羨望の眼差しで見ている。

 そして、首を左右に振ってゆっくりとその場を離れていく。

 映画の一場面を見ているような後味だった。

 ただ一人を除いては。

「もうっ!何ボケっとしてんのよ!さっさとこっち来なさいってっ!」

 茫然としているシンジの腕を掴んで、アスカは自分の方に引っ張った。

「あ、あ…っと」

「ほら、そんな顔するな!馬鹿シンジ!」

 ぱしっ!

 アスカがシンジの頬を引っ叩く。

「あっ!えっと…あれ?」

 眼をぱちくりしているシンジは、さながら桃源郷からいきなり引きずり出されたような顔付きである。

 しかも目の前には怒れるアスカが仁王立ちしている。

 いや仁王というよりも、まさに阿修羅が如く憤怒の表情だ。

「あ、あの、え、あ、その、ご、ごめん、あの」

 覚醒したシンジは錯乱した。

 たった今夢の境地に誘ってくれたのは、アスカの母親。

 しかも自分の母親の不倶戴天の仇敵なのである。

 取り返しのつかない事をしてしまったという後悔が脳内を高速で走り回っている。

 簡単に言うと、固まってしまったわけだ。

 そんなシンジに溜息をついて、アスカは母親の方に向き直った。

 面と向かって反攻したことは…何度もあるが、その都度あっさりと撃退されている。

 だが、今回はそうはいかない。

 絶対に許さない。

 アスカは燃えていた。

 

「惣流キョウコ!アンタを許さない!私のシンジに何すんのよ!コイツは私の可愛い子分なのよ!」

 

 シンジを背中に庇いながら大見得を切るアスカ親分。

 ここが歌舞伎座ならば、「惣流屋っ!」と声が飛びそうなところである。

 シンジはそのアスカの横顔を美しいと思った。

 真っ直ぐに母親の顔を睨みつけるアスカ。

 あんなに恐れていたのに、今はまったくそんな素振りは見せない。

 ところが、その相手は飄々としていた。

「あらま、シンちゃんってステディじゃなくて子分だったの。なぁんだ、拍子抜け」

「な、何よ、その言い方!それに、シンちゃんって何よ、馴れ馴れしいわね!初対面の癖に!

 アンタがそんなに色魔だったなんて夢にも思わなかったわ」

 その時、キョウコが鼻で笑った。

 アスカの背中がピシッと伸びる。あの笑いが出る時は、キョウコが反撃する時の知らせなのである。

「一つ目。私は色魔ではありません。

 私が生まれてから男性と交わしたキスは、パパとグランパ、愛するハインツ。そしてシンちゃんだけ。

 二つ目。シンちゃんとは初対面ではないわ。

 三つ目。シンちゃんとは今回が初めてのキスではありません。

 この様子じゃ、アスカもシンちゃんとキスしたみたいだけど、私は13年前に済ませてます。

 四つ目。シンちゃんはアスカのフィアンセだからママがキスしてもいいの。わかった?」

 法廷における凄腕弁護士の片鱗が垣間見られたが、アスカとシンジにはそれどころではなかった。

 一瞬、ホームに静寂が訪れ、そして二人の絶叫が木霊した。

 

「ふ、フィアンセぇっ!」

 

 

 

 

TO BE CONTINUED

 


<あとがき>

 アスカ編その1です。

 ついに来ました。惣流家の大ボス。

 レイ編の4でアスカがママのことを話した時に、シンジが変な顔をしたのを覚えていらっしゃいますか?

 さて、とりあえず次回もキョウコは健在です。

 フィアンセの謎は次回であっさり解かれるのですが…。

 

2003.10.22  ジュン

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